【経営行動】第5章 経営決定の心理学。課題を直観で解くか熟考して解くか。

第4章に続く人間の限定合理性の話。今回は課題解決の方法の2パターンとバイアスを紹介。


ざっくり言うと

  1. 経営行動の第5章。経営決定の心理学を記載。おなじみ、直観と熟考のファストスローの話。
  2. 課題の解決方法2パターン。スキップ型解決とじっくり解決。
  3. 課題をモデル化することで、ゲーム理論による定式化とコンピュータの支援を可能にしていく。


経営行動の第5章。人間の限定合理性を踏まえて、どう課題を解くか。


経営行動のシリーズ第5章である。すべての記事は下記。


今回は第4章と同様、人間の限定合理性に着目する。だが今回はより人間の能力的な限界、課題解決における人間のバイアスを明らかにする。


最近行動経済学が流行している。きっかけは間違いなく、心理学者なのにノーベル経済学賞をとった奇才、ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」である。これは心理学の観点から人間の認知と意思決定の仕組みを詳細に記述したものだが、サイモンは遥か前から同じようなモデルを提示していることに注目してほしい。やはり、モデリングの天才、サイモンである。


ちなみに読了済みの方は気づいていると思うが、経営行動には一切図が存在しない。だがこれではあまりにわかりにくいので、ブログにて図や具体例を補強しながら紹介させていただいている。ブログに載せてない情報も多々あるので、ぜひ読んでみてほしい。



直観によるスキップ型解決と熟考によるじっくり型解決


わたしたちは課題を解決する時、以下のステップを踏んでいる。

  • 課題の発生
  • 課題のフォーカス(注目)
  • 選択肢の抽出
  • 意思決定
  • 行動

人間は課題解決を行う場合、スキップ型とじっくり型2パターンで対応する。それぞれ見ていこう。



スキップ型解決


ファスト&スロー」ではシステム1として紹介されている。これは直観に基づく判断や、定期的なタスクを進めていくことによる順応、意識せずに定型的なタスクを繰り返す習慣という方法でまず課題にフォーカスする。



上図を見れば分かるが、スキップだらけである。いわば人間に組み込まれたスクリプトのように、なにか反応を受け取ると自動で意思決定をしてくれる。課題のフォーカスから具体例を挙げていこう。


ストレスとは生理的な反応を指し、転びかけると必然的に手を床につけてダメージを回避しようとするようなものが例である。順応の例は人事部の面接業務などである。人事部への配属初日は面接業務は緊張するが、次第に定型タスクとして特に労力を使わずとも行動できるようになる。習慣の例は言わずもがなだが、歯磨きの時にチューブ状のものを無意識に手に取って開けるような行動を指す。自動で行うので、たまに間違えて洗顔料で歯磨きしてしまう、などのスリップが起きる。詳細はアフォーダンスの記事を見てほしい。


じっくり型解決


ファスト&スロー」ではシステム2だが、ちょっと意味合いは異なり、プロジェクト型の課題解決を指している。複雑な要素をもろもろ考慮した上で、意思決定を熟考して下す。通常、多人数で決める例が多いが、一人で重大な決断をする時の熟考も指す。



じっくり型解決は経営の意思決定をベースに考えるとわかりやすい。例えばハンバーガーショップをやっているチェーン店が、新たに焼き肉チェーンを行うと考えて上図を見ながら説明してみよう。


課題のフォーカスについては、焼肉チェーンを展開する出店地域や価格、商品ライナップや仕入れの問題など、様々な要因を考慮していく必要がある。この検討時に限定合理性が効いてくる。


行動持続バイアスは、例えばついハンバーガーチェーンの感覚で焼肉チェーンの出店計画を設計してしまう可能性を指す。似ているようで出店すべきリッチは違うはずだ。機会費用は、焼肉チェーン店を高級ラインで攻めるか、低価格ラインや食べ放題ラインで攻めるか考える場合に、成功確率がどれが良いかわからないことから生じる損失の可能性である。ハンバーガーチェーンをやっていたならば低価格チェーンで進めば良いかもしれないが、心機一転高級路線で進めたほうが利益を確保できるかもしれない。作業興奮の慣性は、焼肉チェーンの出店計画のことばかり考えていくと、ついつい商品のラインナップを考えるのを忘れていたであるとか、店の外装内装を考慮不足のまま進めてしまうような話である。


次に選択肢を抽出するために、焼肉チェーンの進出プランを組み上げていく。実体的計画立案とは、最初から取れるベストな選択肢を抽出する方法である。出店計画は唯一つベストなところを選び、高級ラインで焼肉チェーンを出してみる。手続き的計画立案とは、より試行錯誤的な立案方法である。複数の可能性を考え、低価格チェーンだったらこうやる、もし1店目が成功したらこうする、高級路線だったらここを攻めて見る、というように可能性の幅をもたせながら選択肢を抽出する。前者が良いとも後者が良いとも言いづらいが、焼き肉チェーンだったら手続き的に計画を立案したほうが良いだろう。



課題の定式化、ゲーム理論を例に


課題は定式化できるよう、研究が進んでいる。経済学でもゲーム理論は課題の定式化として成功した理論の一つである。具体的な例としては、囚人のジレンマが有名である。競争相手の意思決定をにらみながら、その時ベストな選択肢を決定していく。

  • 可能な未来の行動を個々の選択地点から分かれていく木として表現する。つまり、個人はそれぞれの選択地点から取るべき適切な枝を選択することになる。
  • 競争状況においては、競争相手に直面した時にもっとも良い結果が得られる選択肢(これをミニマックスと呼ぶ)を選択する。
  • 競争状態において、たとえば相手に自分の動きを予想されないように混合戦略(ポーカーにおけるブラフなど)を取ることがある。
  • 3人以上の競争の場合、合従連衡といった選択を取ることもある。
  • 結果の確率分布だけがわかっている不確実性に直面した時に、意思決定者は基数的効用関数(特定の状況下で2つ以上の変数を対応させるようにできる関数のこと。りんご1個は効用2, みかん1個は効用を1とすると、りんご1個はみかん2個分嬉しい、という比較ができる時の効用を基数と呼ぶ。)を持ち、期待値を最大化するように選択すると仮定する。

ゲーム理論の定式化は、何が嬉しいかといえば数式での表現ができるようになり、さらに言えばコンピュータを利用して計算できるようになったことである。ゲーム理論を定式化して機械学習に応用しようとする動きが実際に行われている


他の例では、金融工学での応用でも有名なモンテカルロ・シミュレーションは人間には計算できないがコンピュータには容易に計算できる典型例である。これは実際にGoogleのAIでアルファゼロが採用しており、囲碁、将棋、チェスで世界最強のプレーヤーとして君臨し続けている。


AIによる意思決定支援はまだ始まったばかりだが、じっくり型解決において機械学習で限定合理性を乗り越え、競争状態において他を圧倒する意思決定を行えると考えられる。AIによる経営の意思決定の実現可能性に注目すべきであり、個人的にも学習を続けたいと考えている。


余談(ごんじっちメモ)


iPad ProApple Pencilを用いて各章ごとにメモを書いている。今回は電子書籍ではなく、ページ数も 550 くらいあるので持ち歩きには不便だ。タブレットにメモしておけば、後で復習するときにはスマホだけで完結する。



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