【論理トレーニング】ひろゆきのようにいやらしく論破するには

論理トレーニングでひろゆきみたいにいやらしく論破する方法を考える。


ざっくり言うと

  1. ひろゆきの論破に魅了される現代人。論理遊びとしてひろゆきは面白いけども。
  2. ひろゆきのように相手の意見にツッコミを入れる方法。
  3. 実際にやってみよう。トイレのおしっこは汚いのか?


ひろゆきの論破芸に魅了される現代人


世間の鬱憤を晴らす存在としてひょうひょうと生きるひろゆきがもてはやされている。


大掛かりに悩みがちな問題を「生活保護をうけてください」「やめちゃえばいいんじゃないすか」でシンプルに片付け、人々の道に光を灯らせている。


名だたる大物や論客を相手に独自のスタイルで論破を決め込み、相手を感情的に揺さぶって大敗させる姿は、人々を感動させる。


現代人の鬱屈した精神をスカッとさせる革命家のように写っているのだろう。実際、発想の独創性や合理性には一理ある。一方で、発言に責任を取らない妙な軽口ぶりは真似するには危険すぎる。


しかし、論理力を鍛えて相手の意見にしっかりと反論する力自体は非常に重要なスキルなので、ひろゆきになる方法、と題して論理トレーニング/野矢茂樹(産業図書)から反論の方法を学んでいこう。



ひろゆきのように相手の意見にツッコミを入れる方法


論理トレーニングでは、反論のコツとして3つが紹介されている。


  1. 根拠の正しさ、導出の関連性の強さへ反論する。
  2. 前提とされる価値基準への反論
  3. 対立する評価の提出

1. 根拠の正しさ、導出の関連性の強さへ反論する。


これは、A→Bとなるような文章に対して、AだからといってBとは言えない、と反論することである。具体例を見てみよう。


具体例: ひろゆきが良いアイデアを出すからといって、ひろゆきが何でもできるわけではない。


2. 前提とされる価値基準への反論


相手が押し付けてくる価値へ反論することである。


具体例:ミニマリストだからといって、冷蔵庫は持つべきでないとは限らない。


3. 対立する評価の提出


相手と対立する価値を提示する。


具体例:困難は苦しいが、避けるべきとは限らない。困難から得られる学びもあるだろう。


このうちひろゆきが多用するのは、1であろう。有名な反論に「それってあなたの感想ですよね?」がある。意見をする場合には意見を成立さえる前提となる論理が必要である。そこにたいして疑問を持てば、意見を発した相手に立証責任が生じるので、反論した側が勝ちやすい、という算段である。


さらに、論理トレーニングではツッコミポイントを見つけるコツとして「意味の間」と「論証の間」に分けて4つ紹介されている。それぞれひろゆき風の具体例を付しておこう。


  • 意味の間へのツッコミ
    • 曖昧な部分はないか?
      • 具体例:「発言は人となりの写像だって言いましたけど、写像ってなんですか?なにが写像なんですか?」
    • 具体性に欠けるところはないか?
      • 具体例:「2chは人々をネガティブにして非行に走らせたって言いますけど、具体的に2chがネガティブにした実例ってあるんですか?」
  • 論証の間へのツッコミ
    • 独断的なところはないか?
      • 具体例:「イギリスではコロナ対策が完璧だって言ってますけど、そう言い切れますか?何を根拠に完璧って言ってるんですか。」
    • 飛躍はないか?
      • 具体例:「2chが若者を堕落させたいっていってますけど、じゃあ2chのどのような仕組みが若者を堕落させたと言えるんですか?」

では仕組みがわかったところで、早速ひとの意見にツッコミを入れてみよう。男女で揉めがちなトイレのおしっこ飛び問題である。



「トイレのおしっこ飛び」問題の医者の反論にツッコミを入れてみよう


早速ある意見に対してツッコミを入れてみよう。まずはおしっこ飛び問題を説明しよう。なお、この文章は論理トレーニングの類書「論理トレーニング101題/野矢茂樹(産業図書)」から引用している。こちらも勉強になるので論理力を鍛えたい方はぜひ参考にしてみてほしい。


便器に座っておしっこをする男性が増えてきた。理由はシンプルで、立って小便をするとおしっこが周りに飛んで不潔だからである。なので、座っておしっこをする男性が増えた、というものである。


これに対して、医者の方の反論で下記のようなものがあった。このコメントは実はツッコミどころ満載なのだが、実際にどこを突っ込めるか考えてみてほしい。


「清潔はビョーキだ」の著者がある東京医科歯科大学の藤田鉱一郎教授も、座り派の増加について「清潔志向が行き過ぎてアンバランスになっている」と指摘する。「出たばかりの小便は雑菌もほとんどいない。その意味では水と同じくらいきれいだ。なんで小便を毛嫌いするのか。バイキンやにおいを退けすぎて、逆に生物としての人間本来の力を失いかけている一つの表れでないといいのですが」
(朝日新聞、2000年3月26日朝刊)

早速突っ込んで見よう。まずは「清潔志向が行き過ぎている」という清潔志向への否定を話しているのに、「出たばかりの小便は水と同じくらいきれいだ」という矛盾である。清潔志向を否定するならば、清潔であることの補強になっている「水と同じくらいきれい」はおかしい。正しくは、小便は汚いかもしれないが、気にしないような心根が必要だ、といった趣旨の文章が続くべきである。実は相手の意見に反論しているようで相手の意見を補強する内容を話してしまっている。


次に「出たばかりの小便」だけに勝手に限定してしまっている部分だ。そもそもおしっこ飛び問題は出てからしばらくした小便が汚いという話もしているはずである。独断的に「でたばかりの小便」に限定して問題ないとするのはおかしい。


さらにいえば、「汚い」という定義が勝手に「雑菌やにおい」に限定されている。筆者が勝手に「汚いイコール雑菌や匂い」と価値を押し付けているとも言えるだろう。「汚い」というのは見た目のシミのことも含んでいるはずで、もしコーヒーの色付きのシミがあればそれも「汚い」と言えるはずである。筆者は勝手に雑菌とにおいに限定している。


たったこれだけの文章でツッコミどころ満載である。Twitterのクソリプなども見ていけば、いかに人の話す意見がつっこみどころ満載か痛感するだろう。反論へのアンテナをひろゆきばりに張り、まずはひろゆきのように「それってあなたの感想ですよね?」といってみよう。多分嫌われる。


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