- Published on
【D=E=ショー】Amazonの創業者ジェフ=ベゾスの元所属ヘッジファンド「D=E=ショー」とは
ざっくり言うと
- ジェフ=ベゾスはAmazonを始める前は投資ファンド(D=E=ショー)で幹部職であった。
- マーケットの魔術師にてD=E=ショーのインタビューを発見。彼もコンピューター研究のスペシャリストから投資業界を攻略しようとするスーパープレイヤー。
- ジェフ=ベゾスがAmazonに目覚めた瞬間は、D=E=ショーでIT業界の投資アイデアを考えているときだった。「どうしても自分で起業したくなった」
Amazonのジェフ=ベゾスがAmazonのアイデアをひらめいた瞬間
5月は苦しい相場であった。4月の温暖相場とはうってかわり、厳しい5月の急落相場がやってきた。冷静に好業績が期待できる銘柄選定を見極める時期だ。投資に関する過去記事はこちら。
- 【投資まとめ】ごんじっち流投資術-銘柄選択編-(2021年1月時点)
- 【投資まとめ】ごんじっち流投資術-いつ買っていつ売るか編-
- 【投資まとめ】ごんじっち流投資術-急落時の対応編-
- 【投資まとめ】ごんじっち流投資術-出来高編-
- 【投資まとめ】ごんじっち流投資術-地合い編-
- 【投資まとめ】ごんじっち流投資術-おすすめYouTuber編-
- 【企業分析力養成講座】手早く核心を突いた企業分析を可能にする魔法のフレームワーク
そんな中、私もちゃんと5月の洗礼を受けて、投資ならば誰もが読んでいる書籍「マーケットの魔術師 株式編 増補版」を読み投資戦略を見直していたところ、D=E=ショーがインタビューを受けていた。そう、Amazon創業者のジェフ=ベゾスがかつて幹部として在籍していた伝説のヘッジファンドの創業者、D=E=ショーである。
今回はD=E=ショーとジェフ=ベゾスのエピソードを紹介する。ちなみにその前にヘッジファンドとは何なのかを説明しよう。
ヘッジファンドとは複数の投資家から資金を集め、積極的な運用を行うことで利益を分配する仕組みのことを指す。あらゆる情報を元に株式、オプション、先物、為替、債券など様々な金融商品を取り扱う。そしてD=E=ショー(人名がそのまま社名になっている)とは、コンピューターサイエンスをフル活用した投資戦略でハイリターンを実現してきた伝説のファンドなのだ。
D=E=ショーとは誰なのか?
D=E=ショーはもともとスタンフォード大学のコンピューター=サイエンスの博士で、大学生時代にはプログラムのコンパイラの会社を立ち上げて売却している。もともと起業家精神にあふれ、12歳の頃にも資金を集めて映画会社をやろうとしていた。博士論文のテーマは「リレーショナルデータベースの知識ベース探索」で、現在の投資アイデアの歪みを見つけるD=E=ショーの売買プログラムに生かされている。博士を卒業してからもいくつもの有名な企業を立ち上げているが、中でも有名なのは当時ダイヤル=アップのインターネットサービスプロパイダーを取り扱っていたジュノ=オンライン=サービス(後のAOL)である。
D=E=ショーは人生の研究テーマとして人間の思考がどういうものかに興味があり、コンピューターの処理速度が、フォン=ノイマン=ボトルネックと呼ばれるCPUとメモリの計算上の制約で遅くなってしまうのに対し、人間の脳のシナプスを用いた相互作用による計算能力の高さを実現させる方法を研究していた。その研究の応用事例として格好の的だったのが金融の世界であった。
金融商品での研究をすすめるうち、モルガン=スタンレーからオプション=トレードシステムの研究リーダーのお誘いがあり、破格の条件でヘッドハンティングされ、やがて自身でヘッジファンドを持つに至る。
D=E=ショーの戦略は極めて複雑で、企業秘密であり全く明かされていないが、あらゆる情報を元に損失確率の極めて少ない投資シナリオをコンピュータによる自動計算で生み出し、運用している。常に市場のアノマリー(こうするとこうなる、という理屈では説明できないが、なぜか起こりがちな作用)を探し、他の人に知れ渡る前にまた別のアノマリーを探しだすのだ。特にD=E=ショーは複数の戦略を組み合わせる手法を多用しており、市場の非効率性を見つけ出すのは至難の業であり、常に努力が必要だとインタビューで述べている。
そんなD=E=ショーが人材採用で特に目をつけていた有力な幹部候補がそう、のちのAmazonを生み出すジェフ=ベゾスである。
ジェフ=ベゾスとの出会いとネット書店構想のきっかけ
ジェフ=ベゾスが面接に来た時、D=E=ショーは直ちに適切なポジションが思いついたわけではなかったが、優れた知性、創造性、起業家精神を兼ね備えており、採用してからどうするか考えることにした。
D=E=ショーとジェフ=ベゾスがテクノロジー関連の新しいベンチャーのアイデアを考えている時、アイデアの一つに電子取引を使った巨大なネット書店があった。書籍の大手取り次ぎであるイングラムズ社が膨大な量の書籍データベースを持っており、システム的につなぎこむことで理論上電子商取引が可能だと思いついたのである。さらに立ち上げ費用もそこまでかからないことまで試算できていた。
ジェフ=ベゾスはある日D=E=ショーに「話がしたい」と言った。一緒にセントラルパークを歩きながら話していると、ジェフ=ベゾスが「起業家の虫が騒ぎ出した。今独立して自分のアイデアを追求したいと決めたらどう思うか」と話した。D=E=ショーは将来の幹部候補を失うのは残念だと思いつつ、自身も独立経験があるのでビジネスを追求してほしいと伝えた。ジェフ=ベゾスの退社は円満で、アマゾンの最初のアルファバージョンが出来たときは、会社に持ち込んでD=E=ショーや元同僚たちにデモとプレゼンをやってくれたという。そこで最初の本の発注をD=E=ショーは体験し、アイデアがいかに強力かを実感したという。