【書評】【フォント】フォントを擬人化? Helveticaは王子様系イケメン?「となりのヘルベチカ」(芦谷國一/フィルムアート社)
地味にレア本。ブランドや広告、看板で見かけるフォントを、擬人化。Helvetica(ルフトハンザなど)は王子様系イケメンだし、Futura(シュプリームなど)は天然宇宙少女なのだ。
街を歩けば、フォントにあたる。ゴディバのチョコレートは、Optimaだし、駅の看板は大体DINだよね。
フォントはブランドロゴにとって超大事。シュプリームはFuturaのやや先進的なイメージをきっちり活かしきっている。BBCは伝統あるイギリスのジャーナリズムを感じられるGill Sansである。
エンジニアとしてキャリアを進めつつも、結局どこかで潜在的にやりたかったデザインにハマってしまい、配色、フォントの勉強をしまくった。
高校生のころはカーデザイナーになりたくて芸術工学に行こうと思っていたこともあり、今でもいつか自動車をデザインしたいと思っている。
まあ、いま自分にできるのは、限られた予算で良いデザインのユニクロTシャツを買うことくらいしか出来ない(ちなみにユニクロTシャツのTimothy Goodmanコラボは素晴らしかった)。
OneclubのTimothy Goodmanインタビュー(英語)より
会社のPC(Win)のフォントが嫌いで、レジストリをいじったら二度と戻せなくなったこともある(多分まだばれてない)。
でもフォントを学ぶ機会は少ない。正直好きなブランドのフォントをgoogle検索して、いろいろデザインツールでいじれば勉強は始められる。
まずは代表的な欧文フォントを覚えると、より服飾やモノを買う楽しみが増えるんじゃないかなーと思っている。
たまたまネットで知り、「フォントの面白さが伝えられる神本では!」となる。
すぐさま本屋に駆け込んで在庫を調べてもらい、3軒目で、最後の1冊を手にした。「となりのヘルベチカ」である。
それにしても画期的なアプローチ。フォントを擬人化するととってもわかりやすい。今までのフォントに関する本はやはりデザイナーが仕事で使うようなフォントブックが多かったので、興味の間口を広げるようなものは少なかったかなと。
同じことをアフォーダンスの文脈でもよく感じるが、一旦別の記事に譲ろう。
本書の構成はフォントの名前の人物が漫画として現れ、それぞれどんな経緯で生まれ、どんなところで使われているか、フォントの性格は?などなどが描かれる。そして最後にきっちりとした解説が2ページずつ付いている。
本書のイメージは、下記の画像から飛ぶ公式サイトでつかめる。実はHelveticaの章は公式HPで公開されているので、興味のある方は見てみてはいかがだろうか。
「かみのたね」連載HPより
Helvetica(ヘルベチカ)は王子様系イケメンらしい。Helveticaとは欧文フォントで最も利用され、愛されているフォントだと思う。なによりスマートで優等生なイメージがある。
これを用いた最も有名なロゴは、間違いなくルフトハンザであろう。スマートな航空会社というイメージを与える。
「Lufthansa」公式HPより
Futura(フーツラ)はご存知だろうか。こちらは先進的なイメージを優先して1927年に生まれたフォントである。作者のドイツ人パウル=レナーは、バウハウスの影響を受け、機能美を生かした幾何学的なフォントを編み出した。ちなみに僕はバウハウスなデザインが一番好みで、バウハウスのクリエイティブ・コモンズのweb画集をよく見てはニヤニヤしている。 wkipediaより
これを用いたロゴはシュプリームなどがある。現在になっても先進的なイメージを持ち続けているのは、すさまじいデザインである。
映画界だと、かの有名なスタンリー=キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」はFuturaを用いている。先進的なイメージを買ってのことだろう。
Type Set in the Future「2001: A SPACE ODYSSEY」より
この本、今品薄らしく、本屋で見つからないことがあるし、アマゾンでプレミア価格化(2019/10/25時点で定価1,700円に対して2,800円)が始まっているので、ぜひ増刷してほしいなあ。
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