【思考実験】教祖マニュアルによれば、キングコング西野さんのオンラインサロンはすでにディズニーであり、宗教でもある。

教祖マニュアルからオンラインサロンと宗教の共通性を読み解く。もはやティズニーじゃないか。


ざっくり言うと

  1. 完全教祖マニュアルが完全オンラインサロン運営マニュアルにしか見えない件。
  2. キングコング西野さんのオンラインサロンは、すでに宗教的要素を持ち、ディズニーにすらなっている。
  3. 宗教の作り方チェックリスト


完全教祖マニュアルがオンラインサロン運営マニュアルに見える


今年、私の人生を変える一冊に出会った。そして私は教祖を志すこととなった。


そう、その名は完全教祖マニュアル(架神 恭介/ちくま新書)である。教祖への道を説く怪作だ。


宗教の本となると難しい感じがするが、決してそんなことはない。むしろふざけ倒している。人によっては怒りを覚える可能性があるので、冗談として受け止められる人が購入してほしい。そして爆笑してほしい。


で私が今回わざわざこの本を紹介するのは、これが完全オンラインサロン運営マニュアルに見えるのである。宗教をオンラインサロンに読み替えるとそのまますんなりと文章を理解できる。そして現代のキリストこそ、そう、キングコング西野さんなのだ。最近ひげ生やしてるし。



キングコング西野さんを例にオンラインサロン、宗教、ディズニーの共通性を探る


完全教祖マニュアルによれば、宗教とは信者をハッピーな気持ちにさせるものであり、理由はともかく信者がハッピーならば良いようだ。たしかにオンラインサロンに参加している人たちはとにかくハッピーでエネルギッシュな感じがする。西野さんに土下座している学生の写真が話題になったが、よく見てみてほしい。学生は喜んで土下座しているのである。西野さんに土下座して、協力してもらうのでハッピーなのだ。


もし自分の宗教が成功したと考えてほしい。もし大教団として成功した暁には、ビジネスの成功なんてどうでも良くなるくらい絶大な影響力を持つことができる。例えば仏教を考えてみてほしい。仏像なんてものは単なるフィギュアだが、金も人材も芸術的才能も惜しげもなく投入され、現在も奈良県の鹿のエサを稼いでくれているのだ。凄まじい経済波及効果だ。信じられない。


そして西野さんのオンラインサロンでも美術館を作ろう(未完成)、プペルの木を作ろう(完成したが傍目には未完成)などと永遠の経済波及効果を築きつつあるのだ。今度はなんの動物のエサを稼いでくれるのだろうか。


西野さんは現在積極的な施策を打っている。映画版を合作にしたのも信者の創作意欲を利用したものであるし、レターポットは経典の販売システムである。Zoomなどでの講演料が高いのも、これは免罪符と言える。西野さんのありがたいお経を聞くことができるのだ。そして神である西野さんを休ませる権利がオンラインサロン内でも販売され、それが完売するのも、それだけ信者から愛されている証拠である。現代社会とは全く別の社会を、オンラインサロン上に作り出したのだ。この意味で西野さんはディズニーになれている、と言える。


宗教で大切なのは、信者にハッピーになってもらうことであり、信者が神の意思を絶対であると考えていることこそ、信者が無限のハッピーを得られる原動力なのだ。一度でもいいから、なにか不幸があったりなにか意思決定するたびに宗教の力を借りるようになり、その結果生まれたなにかポジティブな結果を宗教のおかげだと感じさえすれば、こっちのもんである。そう、信者にとって、西野さんは無限のエネルギーをくださる場所なのだ。そして信者にとって、今回の吉本興業の契約解除は、西野さんがいよいよキリストへと変化を遂げる聖書の物語とかぶって見えるだろう。社会から拒否されるほど、結束力は強まる。


ディズニーも似た側面を持つ。ディズニーランドは信者にとってはれっきとした聖地巡礼の場であり、来るとなぜかわからないがエネルギーとハッピーを得ることができる。私もディズニーは好きだが、ディズニーランドの建物を見ても正直、「良く作り込まれたハリボテ」に見えるのだが、見る人によっては完全な異世界として君臨してくれるのだ。そして江戸時代、ディズニーランドは伊勢神宮のことだった。伊勢神宮も日本中の旅人の聖地として君臨し続けたのである。



宗教の作り方チェックリスト


完全教祖マニュアルでは、具体的なアクションリストとして宗教の作り方を書いてくれている。主な項目は下記だ。


  • 神は用意できたか。
  • 教えは反社会的か。
  • 社会的弱者を抱え込んだか。
  • インテリを抱き込んで教義を作らせたか。
  • 教祖として普通じゃない行動を取れるようになっているか。
  • 誰でも一分で理解できる教えがあるか。
  • 葬式のルールを決めたか。
  • 現世利益を考えたか。
  • 偶像は用意できたか。
  • 民衆の不安を煽ったか。
  • 不安に対する救いを用意したか。
  • 暦を作ったか。
  • オリジナルの祝祭日を作ったか。
  • 食物規制を作っているか。

などなど。宗教に共通する構造を的確に分析した上で、教祖として用意すべきものを具体的に教えてくれる。やっぱ食物規制とかはしたほうが良いみたいだ。なぜなら食べ物を食べるたびに宗教の決まりを考えるようになり、その上でハッピーな出来事が起こると宗教のおかげであると錯覚するからだ。他にも事例とともに興味深いチェックリストが出てくるので、ぜひ確認してほしい。


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