【空気の研究】コロナの自粛要請は空気の怪物を生んだ

政府の自粛要請は、新しい生活様式ではなく空気の怪物を生んだ。


ざっくり言うと

  1. コロナの自粛要請が続き、伝染るはずのない1組だけの旅館が続出。
  2. 山本七平は、空気の怪物が生まれ意思決定を歪ませる構図を「空気の研究」で示し、歴史的名評論として現在も引用され続けている。
  3. 空気を客体化し、自分が空気に惑わされないようにする。


コロナの自粛要請が地方を殺す


9月2日である。個人的に誕生日なので、書きたかった「空気」の研究」をいよいよ紹介する。


新型コロナは産業構造の不可逆な転換をもたらしつつあるが、現在国内旅行については対策が進んできたこともあり、安心して旅行できる。


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むしろ京都は人が減ったことで古きよき京都が戻ってきたとの話もあり、いまこそ旅行におすすめである。


しかし間に合わないかもしれない。なにぜ旅館でも予約が1組しかいない、というようなところが続出しているからだ。


なぜ日本人は旅行にいけなくなったのか。イギリス人はパブに行きまくっているというのに。


空気である。周りの目が気になるので、旅行に行きたくても行かないという歪んだ意思決定をしてしまう。


日本政府はコロナ対策において、自粛要請という中途半端な強制力の無い対策で見事にコロナを抑え込みつつあるが、今はむしろ自粛要請が仇となり、空気の怪物に囚われたままだ。



名評論、「空気の研究」


山本七平の「空気」の研究」は、1983年に初版が刊行された古い評論だが、今もなお時たま引用される名標論である。



最近だと「表現者クライテリオン」が新・空気の研究と称して特集を組んでいる。


本著では、空気が科学的な事実を超えて場を支配することにより、合理的な意思決定が歪められる過程を、公害問題(イタイイタイ病)や自動車NOx規制といった事例を交えつつ解説している。


早速空気の怪物の形成過程を「新型コロナによる旅行自粛」を題材に見てみよう。


世界中で拡大する新型コロナの惨状、政府の外出自粛要請に従わない感染者が次々に批判される状況がメディアで積極的に伝えられることにより、人々は新型コロナの悲惨な状態を臨在感的に把握した。

臨在感的把握とは、日本固有の物神論に由来する。対象に対して、対象の背後に神やら仏やら、霊とおなじような畏れ多いものを感じることで、知らず知らずのうちに何らかの影響を受けてしまう状態を指す。


新型コロナにおいては、旅行や飲み会といった外出行動と、新型コロナの惨状や自粛警察により社会的制裁を受ける状況が結びつき、外出行動そのものに対して背後に自粛警察の目がちらつくようになってしまった。


結果としてコロナ拡大と旅行の結びつきがほとんどみられなかったことが事実として存在している現在においても、人々は継続して必要以上に外出自粛を続けてしまい、1組だけの旅館を日本各地で生んでしまっている。



空気の客観視


新型コロナに限らず、日本社会においては空気が意思決定を行ってしまう状況は頻繁に起きている。


会議では賛成に投じておきながら、飲み会では「あのときは賛成しないといけない空気だったけど、実は反対なんだよなあ」としゃべる役員。


ビニール袋は環境破壊そのものだと日本中のスーパーでビニール袋を廃止し、エコバッグの利用が増えて返って地球温暖化を進めてしまう環境省。


日本敗戦がわかっていながら日米開戦に踏み切った当時の大日本帝国政府。


様々な空気が支配する状況を、いかに回避するか。これは以前紹介したNLPにも通ずるが、空気の客観視、いまその場に合理的ではない空気が支配しているという状況を積極的に把握することである。


一旦冷静になって、空気よりも合理的事実を優先する。周りの目を気にしない。


一人ひとりが意識して空気の客観視を行い、これ以上自虐的経済自殺を進めてはならない。


すでに多くの文化資産を失った。自分の身の回りの状況を客観的に見て、コロナの感染リスクと自分の行動を合理的に判断しよう。





余談


本著もユダヤの商法と同様、死んだ祖父の本棚からもらってきたものである。山本七平の本は全て持って返ってきた。しかも筆者所有の「空気の研究」は初版である。これはラッキー。


本著も正直難解なので、解説書が出ている。まずは解説から入ってもよいかもしれない。通読大変だった。


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