【マネーロンダリング】カルロス=ゴーンはどのようにマネーロンダリングを行っていたか?

ヴェルサイユ宮殿で結婚式を挙げた男の、マネーロンダリング手法。


ざっくり言うと

  1. フィンセン文書でマネーロンダリングに注目。猫組長のマネロン解説動画が面白い。
  2. カルロス=ゴーンは中東日産とオマーンルートを悪用して不正に送金を行った。
  3. Google, Apple、Facebookなども行ってきた租税回避策について。ダブルアイリッシュとダッチサンドイッチ。


フィンセン文書


フィンセン文書は、2000年-2017年において世界中の金融機関が総額2兆ドルのマネーロンダリングを許していた事を暴いた。



正直、マネーロンダリングに関しては金融機関にとっても飯の種になっており、サービスの一つとして提供してしまっているパターンが多い。


香港が金融街として成長したのも、中国共産党の高官やマフィアが賄賂や違法取引で得た隠し資産を、マカオというカジノを経由してマネーロンダリングを行うことで成長した側面がある。


富裕層の租税回避も非難を受けやすい対象の一つである。


ドナルド=トランプは所得税を7万円しか払っていないし、アイルランドに本社がある会社も多い。


そういえば、楽器の箱に隠れレバノンに逃亡した元日産会長、カルロス=ゴーンはどのようにマネーロンダリングを行っていたかご存知だろうか。


彼は日産という箱を最大限活用し、豊富な個人資産を築いたのである。



カルロス=ゴーンのマネーロンダリング


カルロス=ゴーンの手法については文化人放送局の猫組長(元マネロン)の解説動画が大変わかりやすかったが、文章でも解説する。




ゴーンは日産の利益をなんとかして自分の懐に入れたかった。


だが現在は金融犯罪に関しては監視が厳しく、直接の国際送金では足がついてしまう。


イギリスの金融マンのアドバイスを受け、マネロンの温床として有名なオマーンルートを利用した。


オマーンの日産車販売代理店「スハイル=バハワン自動車(SBA)」オーナーから私的に30億円を借り入れ、SBAへの代金支払の猶予や金利ディスカウントを行った。


さらに中東日産から報奨金名目で資金を注入(CEO予備費から拠出)し、SBAからペーパーカンパニーへの送金を行う。


ペーパーカンパニーはゴーンの妻や長男の会社に送金され、結果ゴーンの懐に入っていった。


他にゴーンは新生銀行との間で運用していた金融派生商品の負債を日産に肩代わりさせている。


新生銀行はリーマンショックで損失を出したゴーンに対し、10億円程度の追加担保を求めていた。


そこで、知人でサウジアラビアの実業家であるハリド=ジュファリ氏から日産に対する30億円の「スタンド=バイ=エルシー(信用保証状)」を信用保証として新生銀行に差し入れてもらい、ジュファリ氏にお礼としてCEO予備費から16億円を現地合弁会社への販売促進費の名目で支払っていた。


結果、日産がゴーンの損失を肩代わりしていたことになる。


まさに日産を私物化していた、というのがゴーンのマネロンの経緯である。



典型的な租税回避(ダブルアイリッシュ・ダッチサンドイッチ)


さらにゴーンは典型的な租税回避も行っていた。


具体例としては、ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチという手法が存在する。


これは、アイルランドに子会社を2つ持ち、オランダを経由する手法である。


アイルランドの税法上、住所がアイルランドに存在していても、営業実態がアイルランドにない会社は税金がかからない、というものがある。


結果、営業実態をタックスヘイブンとしたアイルランドの会社を作るのである。


ところがこれではまだ完成ではない。タックスヘイブンは世界中の当局から目をつけられているので、海外送金に足跡がついてしまう。


たとえばアイルランド付近だとバミューダ諸島がタックスヘイブンであるが、バミューダ諸島で営業実態を生むことはできない。


そのため、名目の1社に加え、本来の業務を行う会社をアイルランドにもう一つ作る。


ところがこれでは完成しない。今度は本来の業務を行うアイルランドの会社が税法に引っかかる。


ここでアイルランドの税法には抜け道がある。相手がオランダだと課税しない、という法律なのである。


これがダッチサンドイッチなのである。つまりオランダを経由して営業実態のあるアイルランドの会社→営業実態がなく、タックスヘイブンに営業実態があるとされるアイルランドの会社に利益を送金する。


結果、世界中のどこでも課税されない状態になる。


この手法はGoogle, Apple, Facebookなどが行っており、たまに〇〇文書の流出で世界中の富裕層が上記の手法で租税回避を行っていることが漏れ出たりする。


その中に一人、カルロス=ゴーンも含まれていた。


租税回避自体は合法であるが、ほとんどマネーロンダリングと同じ手法と言える。


真面目に税金を払っている我々が馬鹿らしくなってくるが、まずは金融リテラシーを上げてお得に暮らそう。


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