【プライシング】なぜ日本経済新聞の紙+電子版がお得に見えるのか?

日経の見事なプライシング戦略。


ざっくり言うと

  1. 新聞業界で健闘する日経。
  2. 経済誌「The Economist」の購読プランの実験結果。
  3. サブスクリプションの値決めをする時は、一番売りたいプランがお得に見えるように工夫を。


日経、朝刊販売部数で健闘


久しぶりに経済ネタを紹介。今回は日経の不思議な購読料金の値付けに注目する。


さて、斜陽と言われて久しい新聞業界。


業界全体を見れば新聞発行部数はどんどん落ち込んでいたが、健闘している新聞紙もある。日経こと日本経済新聞社である。



上図の紫が日経だが、他社の落ち込みと比較して日経は健闘している。紙媒体が今も売れている。


もちろん、購読者の年齢層など他の要因も考えられるが、日経は購読プランにおいて経済学的に特徴ある価格設定をしている。



見てのとおり、電子版と紙媒体の単体プランの購読料とWプランの購読料の価格差が小さく、消費者としてはWプランがお得に見えるのである。


単体だと4,000円-4,900円なのに、Wプランは1,000円-2,000円の価格差。商品単体の価格と2個買った場合の合計金額が全く釣り合わない。


実はこの一見不思議な価格設定を行った研究事例が過去に存在する。次節以降で紹介しよう。


事例の参照元は、個人的マーケティングベスト本の「東大教授が教えるヤバいマーケティング(阿部誠/KADOKAWA)」



The Economistのプライシング実験


「The Economist」という経済誌の年間購読プランについて、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院の100人に聞いた結果が下記である。


表1はプランA(ウェブ版)、B(印刷版)、C(印刷版とweb版)を用意、表2はプランB(印刷版)を除いて再アンケートを取った。



結果は、プランBが無いとより安いプランを選ぶ人が増えた。


なぜか。これは印刷版だけのプランBが囮となってプランCが安く感じられ、プランCを選んだほうがお得に思えるのである。


これを経済学用語でアンカリング効果と呼ばれる。



サブスクリプションのプライシング戦略


最近流行しているサブスクリプションのプライシング戦略にも有効である。


本当は買ってほしいプランをお得に見せるため、どう見てもお得でない囮プランを用意する。


するとユーザーは高いプランを購入してしまう。


基本的なマーケティング戦略だが、強力なので新商品開発の参考にしてほしい。





余談(おすすめ本コーナー)


おすすめデザイン本。ずっと使えるデザインのコツがびっしり。自分もよく利用してます。


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