Gonjitti Mega Hit Blog
Published on

【ヤフーとLINE】LINE・ヤフー経営統合に見る、ノーサイド現象。スマホ決済マーケットのゲームチェンジ

yahoo-line-merger

日本経済新聞HPより

ざっくり言うと

  1. スマホ決済市場におけるトッププレイヤー同士は、消耗戦の末に経営統合を選んだ。ゲームチェンジである。
  2. スマホ決済市場のプレイヤーを見てみよう。QR決済に閉じて見れば、ヤフーとLINEの統合はSuica一強への対抗馬になる。ソフトバンクGは100億円かけて貴重なジジババの認知率を獲得し、ヤフーとLINEをドッキングさせることに成功した、と見るべき。マーケットはかつてのフリマアプリと同様、天下統一に向けた殲滅戦に移行した。各社生き残り戦術を考えてみる。
  3. インテルのアンディ=グローブはマーケットの劇的変化を「転換点」とよび、著書「パラノイアだけが生き残る 時代の転換点をきみはどう見極め、乗り切るのか(日経BP/2017)」の中で自身のインテルのCPU転換の経験を踏まえて転換点に備えた経営のコツを語っている。


LINE、ヤフーと経営統合。ゲームチェンジ


衝撃のニュースが飛び込んできた。LINE, ヤフーの経営統合である。ヤフーとLINEは互いに出資比率50%同士(なんで対等なんだ、51:49くらいしとかないと絶対やりにくいぞ)の合弁会社を立ち上げ、Zホールディングスへの出資比率100%として経営し合うようだ。


2019年から始まったQR決済マーケットは、トップ同士の統合により、覇権がほぼ決まった可能性がある。LINE, ヤフーの経営統合により、消耗戦から天下統一に向けた殲滅戦に移行した。ちなみになんで戦国時代っぽく書いているかといえば、gonjittiは信長の野望をやりすぎているからである。


qr-code-market-report

ICT総研の調査レポートより

こうしたマーケットのプレイヤー間の競争が大きく変化する事象をゲームチェンジとと呼ぶ。チョット前にフリマアプリでも起きたヤフオクからフリマ戦国時代でのフリルの台頭、そしてメルカリへの覇権の移行を遂げたマーケットのゲームチェンジが、いよいよQR決済でも起きた、ということである。


まあ、経営統合のメリットくらいは多くの識者やNewsPickerならすらすら言えると思うので、本記事の読者にはマーケットのゲームチェンジに絞り、なにか面白いことを言えればと思っている。



スマホ決済市場のプレイヤーとプレイヤーの生き残る道


スマホ決済市場は下図に載っていない最強のプレイヤー、Suica神が見守る中、QR決済市場の覇権をめぐる戦いが繰り広げられていた。


qr-code-market-report-2

Infcurion調査レポートより

上位2位のプレイヤーが統合することで、QRコード決済の覇権は確実に新会社が握ることになる。


ついでに言えば決済だけでなくメッセージ利用者とヤフーの各社サービスの統合により、WeWork問題で揺れるソフトバンクGは最近調子を落としていたヤフーの基盤を安定させることができ、金のなる木、とすることができる。それにしてもWeWorkの時のビジョンファンドの投資判断とは比べ物にならないほど手堅い判断である。


しかし、gonjittiが気になるのは他社の生き残る道である。このままだと殲滅されて終わるだけである。勝手に救う会を立ち上げて生き残り戦略を考えてみる。


まず楽天ペイ。実は私もよく利用しているが、安定した顧客基盤と2020年にSuica神との悪魔合体が控えている。つまり今は静観でよい。しいて言えば、きっちり楽天銀行や楽天証券、TOTOや宝くじなどとの連携を粛々進めておくべきである。もし、Suica連携が独占契約でないとすれば、若干不安要素が残る。


次にgonjitti推しのオリガミペイ。これまでよく戦ってきており、先日も小売業とのアライアンスを発表、アプリのパフォーマンスもgonjittiの感覚では現状一番使いやすいと感じている。だがあまりに資本体力がなく、厳しい戦いになる。gonjittiとしては各社の小売業、GMSのポイントシステムのリプレースを狙って被買収されるか、Tポイントのようにアライアンス強化を進めると戦い続けられるのではないだろうか。


メルペイ。メルカリの強固な基盤で戦ってきている。フリマアプリでは覇権を握った。が、メルペイは正直厳しい。戦略が中途半端になっており、メルカリとメルペイ連携の時の、ITリテラシーがウルトラ高くないと利用できない系の使いづらさも健在。後払いを浸透させる戦略は極めて正しく、若年層をきっちり取り込めると思うが、店舗開拓が進まずに終わりそうである。営業を雇おう。


その他の決済サービスについては、一旦自社のアプリの使い勝手の改善を行った上で参入する必要があると考えられる。ストーリーとUXの改善に努めよう。


まあ、いちエンジニアの戯言ですし、あんまり本気に捉えなくても良いと思うが、どこかで参考になっていれば嬉しい。



インテル元経営者アンディ=グローブに学ぶ


ところで話は変わるが、インテルの経営者アンディ=グローブはご存知だろうか。


andy-grove

World Economic Forum from Cologny, Switzerland - World Economic Forum Annual Meeting 1997 - Klaus Schwab & Andrew Grove, CC 表示-継承 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3548252による


彼は1980年代、当時のメモリ市場で日本のメーカーに覇権を握られつつある転換点のタイミングで、垂直統合だったPCの業界構造が横串の分散構造になることを予見し、メモリメーカーだったインテルを現在のCPUメーカーにまるごと改造した名経営者である。


pc-market

「パラノイアだけが生き残る 時代の転換点をきみはどう見極め、乗り切るのか(アンディ=グローブ/日経BP)」より


彼の判断はまさしく、今回のQR決済マーケットのゲームチェンジに備えた経営戦略と言うことができる。ただ、当時本業だったメモリ製造を全部捨てたので、実際に行動に移したのはすさまじいエネルギーである。


詳細は別記事にするとして、まずはパラノイアが生き残る、でも読んでみてはいかがだろうか。ちょうどはしがきをヤフー側の当事者、小澤隆夫氏が書いていることですし。



余談

すでに経営統合の1ヶ月前からヤフー株とLINE株は上昇を続けていた。情報が漏れている。何かあるとZOZOの時と同様踏んでいたが、これは読めなかった。
【ZOZO】ヤフーZOZO買収の株価の動きをかつてのプレミア経済本【相場は生きている】で読み解く



余談(おすすめ本コーナー)


おすすめデザイン本。ずっと使えるデザインのコツがびっしり。自分もよく利用してます。