【書評】日本マクドナルド創業者の奇怪なビジネス書「世界経済を動かすユダヤの商法」(藤田田/KKベストセラーズ)

とうとうこれを紹介する時が。個人的名著。日本マクドナルド・日本トイザらス創業者、藤田田のビジネス奇書をたどる。

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ざっくり言うと

  1. 亡くなった祖父の書棚で見つけた、ずっと欲しかったプレミア本。
  2. 世界を動かすユダヤ人の商法を学び、財をなした伝説の経営者、藤田田。
  3. 女性と口を狙え、ギブアンドテイクではなく、テイクアンドアスクフォアモア、見切り千両、教養をつけよ、耳の裏と股間を掃除しろ。


亡き祖父の遺品整理で、ずっと欲しかったプレミア本を見つける


2019年1月に祖父は亡くなったが、彼は読書家であり、遺品として残された本は数千冊にのぼった。


好きな本を持ち帰って良いと聞いていたので、私は戦国時代の解説書、諸々の哲学書、世界の名画の画集、1960年代のアメリカの写真集、雑誌LIFEの表紙集などピンときたものを適当に持ち帰ることにした。


そんな中、思わず声を上げて手にとった本がある。
「世界経済を動かすユダヤの商法」(藤田田/KKベストセラーズ)である。
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当時、私の藤田田の認識は、「高校生時代の孫正義に、コンピュータを学べと伝え、彼のソフトバンクでの人生を導いた人物」くらいのものだった。だが、藤田田の生き様を見聞きし、名だたる経営者が慕う人物とは聞いており、「ユダヤの商法」がすごいらしい、ということは認識していた。


だが、2019年4月に月に新装版が出るまで、本著はアマゾンで25,000円の値がつくほどのプレミア本と化していた。そのため、祖父の遺品を持ち帰るまで、喉から手が出るほど欲しくても手が出せない本であった。だから思わず声を上げた。


なんともいえない、奇怪な表紙である。当時大ヒットしたらしく、祖父が所有していた本は1972年に初版、1983年に第231版とされており、異例の再販ぶりである。ただいわゆる文庫本でしかなかったので、諸々で捨てられ、現存する書籍は減っているのだろう。


裏表紙には、「どうすれば儲かるか公開するのは不本意だが、日本全体が儲けるほうが良いから公開した。この本には、金儲けのノウハウがぎっしり詰まっているのだから、他人に貸して他人を無料で儲けさせるな」と書いてある。性格が垣間見える。そして、私は魅了された。
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事前に注意しておくと、本著は癖が強すぎるので、倫理観が強い方には向かない。また、新装版ではなく、当時の一部差別的な表現が残る旧版で書評を書く。



「銀座のユダヤ商人」-藤田田-


まず藤田田について書く。彼は大阪の東淀川生まれで、東京大学在学中に、輸入雑貨(特にダイヤモンドやプラチナ等)を扱う「藤田商店」を立ち上げ、主に米国から商品を輸入するビジネスで名を上げた。


その他様々なビジネスを手掛ける総合商社的な役割を担いつつも、マクドナルドのレイ・クロックから日本展開を任され、銀座三越にマクドナルド1号店をオープン。「日本人を金髪にする」スローガンの元、圧倒的な展開力で直ちにマクドナルドを日本初のファーストフードチェーンとして成功させる。


その後、日本トイザらスの展開も担い、生涯に渡って実業家として活躍した。日本で唯一のユダヤ商人として認められており、「銀座のユダヤ商人」の異名を持つ。



ユダヤの商法の格言たち


藤田田のビジネス哲学は基本的にユダヤの商人哲学に基づく。ユダヤ人は商売を是とし、自らの民族の存続を経済によって保っている存在である。現在においても、世界中の金融の動きをコントロールしているのは、間違いなくユダヤ人である。下記にその哲学の一部を紹介する。



女性と口を狙え


「女性を狙え」は女性が家族において財布の紐を握る存在であることや、男性と比較して浪費のハードルが低いことを指す。ユダヤの経典、タルムードにも書かれているほど、古来より伝わる真理らしい。藤田田は藤田商店時代は宝飾品の輸入で莫大な利益を上げていた。いわば女性向けのビジネスを忠実に実行しているのである。


「口を狙え」は、いうなれば食事と健康に関わるビジネスはなくならないことを指す。藤田田はマクドナルドをもってビジネスの原則に則っている。



ギブアンドテイクではなく、テイクアンドアスクフォアモア


最近、ギブすることの重要性を説くビジネス書が多いが、藤田田はこれを否定する。曰く、そんな生ぬるい考えではビジネスで生き残れないとのこと。搾取できるだけ搾取しつくす、テイクアンドアスクフォアモアの精神を持てとのこと(異論は認める)。



見切り千両


見切り千両、これは投資の世界でいう損切りである。3ヶ月やってみてだめならば、スパッと辞めることを勧めている。だが、一度商売で儲かるとなれば徹底的にやり尽くすこと。ユダヤの金言で「オフィスで死ぬ」というものがある。これは「死ぬまで稼げ、死ぬまで商売の手を辞めるな」とのこと(異論は認める)。



教養をつけよ


ユダヤ人の食事は2-3時間に及び、その時は一切仕事の話はせず、世界の教養の話をするとのこと。つまりそれだけ世界のことを深く広く知らなければ、ビジネスが出来ないことを本質的に知っているのだろう、と著者は語る。確かに、教養が足りないと話が噛み合わず、深い議論ができなくなることは多い。まず物事をよく知らなければ、商売は出来ない。



耳の裏と股間を掃除しろ


耳の裏と股間はあらゆるエネルギーが集まる場所なので、ユダヤ人は常に清潔にし、健康に気を使っているとのこと。本著では、藤田田がユダヤ人から「おしっこを急ぐようなやつとは商売の話はできない」と忠告された話が残っている(異論は認める)。



読めば読むほど奇々怪々なビジネス書であるが、出てくるエピソード一つ一つが痛快なので、ぜひ新装版で構わないので手にとってほしい。ただ、新装版は差別表現やエピソードが削られているらしい。できれば昭和の旧版を購入してほしい。まあ、興味があれば詳しいことはgonjittiにでも聞けばよいのではないだろうか。



余談(おすすめ本コーナー)


おすすめデザイン本。ずっと使えるデザインのコツがびっしり。自分もよく利用してます。


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