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【書評】脚本術にサービスのコンセプト作りを学ぼう「SAVE THE CATの法則」
ざっくり言うと
- 2020年は動画編集。だが構成で行き詰まる。
- 脚本術「SAVE THE CATの法則」で脚本を学ぶと、サービスのコンセプトづくりに活かせることがわかってきた。
- 監督に脚本を買い取ってもらう脚本ビジネスの世界。結局ビジネスのセールスに他ならない。
2020年、動画編集で行き詰まる。
2020年、明けました。おめでたいかどうかは、年末に決めましょう。
年末年始は動画編集を進めていた。
動画編集はわかったが、最大の問題に直面する。
動画がつまらない。どうにもテンポが悪い。
構成が面白くならない。趣深くならない。ずっと見てたい気分にならない。
悩んだ末に最近のヒット本「ヒットの設計図-ポケモンGOからトランプ現象まで-(デレク=トンプソン著/早川書房)」のスター・ウォーズの章を読んでいたら、気になる本を見つけた。
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それが、全米で読んでいない脚本家はいないと言われる脚本術本「SAVE THE CATの法則(ブレイク=スナイダー著/フィルムアート社)」である。いよいよ脚本術の本にまで手を出してしまった。
脚本もエレベーターピッチ
脚本術の世界は奥深い。脚本を映画にしてもらうには、映画会社や監督に短時間で刺さるログライン(一言で言えばどんな話?)を設ける必要がある。
まるでスタートアップが投資家に行うエレベーターピッチのようである。これが明快でないと、売れないのである。
この本は独特で、本の後半になっても脚本を書いてみよう、とならない。とにかく、ログラインと設定、構成に時間をかけまくる。ログラインがきまらなければ、君は本気で脚本を考えていない、とまで言い切る。
ここで筆者の述べる優れたログラインを紹介。イメージが広がること、観る人のターゲット、制作費や演出の規模まで見えるのがキモである。
景観が別居中の妻に会いに来るが、妻の勤める会社のビルがテロリストに乗っ取られる。「ダイハード」(88)
週末の楽しみに雇ったコールガールに、ビジネスマンは本気で恋をしてしまう。「プリティ=ウーマン」(90)
極めつけは2時間映画を15のパターンでフレームワーク化した「ブレーク=スナイダー=ビート=シート」である。なんと15ものシーンが台本のページ数の目安まで含めて書かれているのである。しかもどんな映画でも必ずこの構成が最もうまくいくという。信じられないが、多くの映画を見てもそのとおりなので体感してほしい。
厳しいハリウッド映画、脚本の世界
本著ではハリウッド映画の厳しい世界を垣間見ることができる。
ハリウッド映画は映画会社と映画監督、脚本の3つがまず必要である。脚本は様々な形で提供される。
90年代流行したのは脚本オークション方式である。映画監督や映画会社がこぞって良い脚本を探しあぐねていた時代、脚本家たちはエージェントの主催する脚本オークションに出品し、バブルもバブルの高値で買い取られていた。しかし脚本の多くは映画化の夢を見ることはなかった。
00年代になると映画業界の状況が一変、業界全体が下降を始める。ケーブルテレビやインターネットの台頭である。映画会社は実績ある映画監督に脚本含めて委ねるようになり、オークション形式は姿を消した。新進気鋭の脚本家たちはエージェントをなんとか捕まえて売り込んで貰う必要がでてきた。
更に追い打ちをかけるように、続編ブームが起きる。映画会社は興行収入が見込める過去ヒット作のリバイバルしか行わなくなり、脚本の新陳代謝が止まった。現在は脚本家たちによる熾烈なイス取りゲームが行われているのが実情である。
こんな中で脚本家が一歩抜け出すには、まさにログラインの作り込みが必要である。スタートアップの世界もサービスが大体充実してきた中で、サービスの作り込みが求められている。エレベーターピッチやAppStoreの一瞬のユーザーとの出会いでサービスを刺さなければ、死あるのみである。
単に動画の脚本の参考に読んだ「SAVE THE CATの法則(ブレイク=スナイダー著/フィルムアート社)」は、いつの間にかスタートアップのアイデアの精緻化に役立つマーケティングの書籍として、しっかりと学ばせていただくこととなった。
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