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【映画】ダサいと馬鹿にされたフォードが、絶対王者フェラーリに挑む伝説の復讐劇「フォードVSフェラーリ」
ざっくり言うと
- ついに来た。自動車史に残る復讐劇。1966年、ルマン24時間レース。ダサいの代名詞フォードが絶対王者フェラーリに挑む。
- 実はフェラーリはフォードの子会社になるはずだった。だがしかし、交渉は締結直前で決裂。フェラーリは大衆車メーカーのフォードを馬鹿にしていた。
- 屈辱的な経験を負った大衆車メーカーフォード。当時フェラーリが4連覇していたルマン24時間レースで復讐を誓い、アメリカレース界の往年の名コンビを迎え入れる。
屈指の復讐劇、映画化
ついに来てしまった。
僕が魂を震わせる自動車界の名復讐劇、映画化。
屈辱を背負ったフォードが、絶対王者フェラーリに挑む物語。
ダサい、かっこ悪いの代名詞だったフォードが、レースカーを作って無謀にもチャレンジする物語。
映画「フォードVSフェラーリ」が本日、2020年1月10日公開となる。
CG一切なし、オール実車で50台わずか10台しか完走できないサバイバルレース、ルマン24時間レースを忠実に再現したこの映画は、レース映画として自動車ファンを引きつけるのはもちろんのこと、魅力的なストーリーが男性女性問わず感動を呼び、全米映画初登場初登場第1位、映画批評サイトでも高評価を連発しているようだ。マニアックなレース映画がここまで評判を呼ぶのは久々な感じがある。
個人的にこのエピソードは自分の心に深く刻んでいたエピソードで、勝手にフォードにあやかって自分のクロスバイクはフォードGTを同じカラーリングのものを大切に乗っている(2013年/キャノンデール/クイックSL3)。
前回の記事 で紹介した脚本術本「SAVE THE CATの法則(ブレイク=スナイダー著/フィルムアート社)」のストーリーでも2つの王道パターンを踏まえている。復讐劇のストーリー、2名の主人公によるバディ・ムービー、である。
背景知識を知っているほど映画は面白くなる。本記事では映画がもっと面白くなるよう、背景知識を紹介したい。
ダサい大衆車といえば、フォード
Alexander Migl
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投稿者自身による作品
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ルマンで4連覇していたフェラーリ250PのLM1961年、ヘンリー=フォードの大量生産車「T型フォード」以降フォードは大衆車を量産するメーカーとして一大企業となっていた。
しかしフォードは採算が合わないスポーツカーを作っていなかったため、世間のイメージは「ダサいけど安い大衆車メーカー」というものであった。
そこで当時の社長、ヘンリー=フォード2世は当時初めて販売を予定していたスポーツカー、「フォード=マスタング」の販売促進やイメージ向上のため、モータースポーツ部門の拡大を目指しイタリアの名スポーツカーメーカー、「スクーデリア=フェラーリ」の買収を予定した。
交渉はうまくいきかけるも、直前でフェラーリ創業者エンツォ・フェラーリは土壇場で破談とし、その理由を「ダサいフォードなんかに売るものか」として軽くあしらった。
屈辱的な経験を負ったヘンリー=フォード2世。フェラーリへの復讐を誓い、当時破竹の4連覇を成し遂げ敵なしだったルマン24時間レースでの勝利を目標に、レースカー製作に乗り出す。
失敗続きのルマンチャレンジ、米レース界の大物に助けを求める
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1961年の交渉決裂から、3年。
1964年にフォードはルマン24時間レースに3台の「フォードGT40」を投入し、打倒フェラーリを目指す。
しかし、結果は全車リタイア。その年、フェラーリは悠々と5連覇を成し遂げる。
翌年、1965年は5台の「フォードGT40」を出走させるも、全車リタイア。
後がないフォード。レースカー製作、レースチーム組成がうまく行かないフォードは、米レース界の一時代を築いた伝説のレースドライバーにしてレーシングカーデザイナー、キャロル=シェルビー(本作ではマッド=デイモンが演じる)を招聘する。
シェルビーは1966年のルマンに向けレースカーをリメイクし、当時シェルビーのチーフテストドライバーだった往年の名ドライバーにして人格難有りの荒くれ者、ケン=マイルズと共に準備を進めていく。
果たして、彼の製作する「フォードGT40」はフェラーリを打倒することができるのか。その結果は、是非劇場で楽しんでほしい(僕も観ます、今日)。
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