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【ゲームチェンジ】メルカリが制したフリーマーケットアプリ市場のゲームチェンジ

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eコマースコンバージョンラボHPより

ざっくり言うと

  1. 近年最も興味深いゲームチェンジが起きたのは、フリーマーケットアプリ市場である。
  2. ヤフオクの独壇場となっていたマーケットに、フリルを始めとするフリマアプリが進出、2013年に激戦化した。
  3. 覇権をとったのは総合フリマのメルカリ、ゲームチェンジが起きたのは2014年5月。初代テラスハウスのTVCMで一般ユーザー認知を獲得したことでマーケットを蹂躙した。

フリーマーケットアプリにおけるゲームチェンジ


ヤフーとLINEの統合時に、私は始めてゲームチェンジという概念を紹介した。スマホ決済アプリが天下統一に向けて歩みを始めた瞬間である。


2018年に勃興したスマホ決済アプリ市場は、中国でのQR決済市場の台頭に対してタイムマシン的に日本でも導入され、2018/12のPaypayの100億円キャンペーンによる電撃参入で勃興、2019年は猫も杓子も決済ポイントをつかもうとQR決済アプリを展開したが、2019/11をもって天下統一に向けた展開が進められていると感じている。


【ヤフーとLINE】LINE・ヤフー経営統合に見る、ノーサイド現象。スマホ決済マーケットのゲームチェンジ


ゲームチェンジは残酷なまでに勝者と敗者を決定し始めるので、経営者は予めゲームチェンジを予測しつつ、慎重にかつ大胆に意思決定を進めていく必要がある。


QR決済の前に起きた有名なゲームチェンジは、2014年にメルカリが勝利を決定づけたフリマアプリ市場である。このマーケットはオークション形式だった市場にフリーマケット形式というC2Cのビジネスモデルが突如生まれ、オークション形式を食いつぶす形でフリマアプリ市場が創出された。



ヤフオクが制圧したオークション市場に、フリマアプリというマーケットが勃興した


2006年頃に天下統一を果たしていたオークション市場の覇者、ヤフーオークション、通称ヤフオクは、PC中心のネットオークション市場において圧倒的なシェアを確保し、我が世を謳歌していた。ちなみにネットオークション市場は1999年頃に勃興し、DeNA(当時はビッターズ)、eBay、Yahooオークションが存在、2004年にlivedoorオークション、2005年に楽天オークションが参入したが、結果Web検索の王者となっていたYahooオークションが天下を統一した。


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InternetWatch「ライブドア、無料で利用できるオークション『livedoor オークション』」より

その後PC利用によるインターネットの時代はずっとヤフーオークションの時代が続く。「パックス=ヤフオク時代」である。


しかしスマホの台頭は、アプリによるオークション、さらにオークション方式への手間から生まれたフリーマーケットアプリが2012年頃から登場する。


最初に女性ファッション業界で台頭したのはFril(以下フリルと記載)である。フリルはVOYAGE出身の堀井翔太氏が立ち上げた女性ファッション向けのフリマアプリで、女性がmixiやブログ、モバオクで洋服の売買を行っていた部分の手間を解消したアプリであった。女性からの支持を中心にオーガニックで成長を遂げ、着実にヤフオクの手薄市場であった女性ファッションのカテゴリーキラーになっていた。


女性ファッションに限らず、本来オークション形式へのユーザーの手間への不満は潜在的に溜まっており、総合カテゴリでフリマアプリを展開したのが2013年7月にアプリをリリースしたメルカリであった。


メルカリは当時ウノウ(ウノウ→コウゾウ→メルカリ)という社名を経営していた山田進太朗氏が展開し、早期に資金調達を得てヤフオクへの対抗馬として積極的にマーケットシェア拡大を目指した。結果2013年中にGoogle Playのベストショッピングアプリを獲得した。同時期に総合カテゴリを狙ってSTULIO(2013年10月), LINEMALL(2013年12月), 2014年にkiteco(2014年2月),ラクマ(2014年11月)とフリマアプリが続々進出した。



総合フリマで2014年5月にTVCMを開始して抜け出したメルカリが覇権を握り、2014年10月に有料化へ


2014年1月当時、フリマアプリ市場はメルカリとLINE MALLの2強となっていた。当時は後発のLINE MALLがLINEのユーザー基盤を背景に抜き去るのでは、という話すらでていたくらいである。


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tomoima525's blogより

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tomoima525's blogより

しかし、決定的な差を分けたのは2014年5月のメルカリTVCM展開である。当時の初代「テラスハウス」で活躍したメンバーを活用したCM効果により、一般層への認知が一気に拡大したのである。そう、2018年12月のPayPay100億円キャンペーンみたいに。


下記は山田進太朗氏のブログである。彼は2014年当時、積極的に書評ブログを書いていた。メルカリは2014年当時、ベンチャー2年目でのるかそるか、の瀬戸際であったが、大胆なTVCMによって一気にライバルを抜き去った。そのきっかけと個人的に考えているのは、僕個人も良かった本ベスト3に入れている「ジェフ・ベゾス果てなき野望」である。彼は書評の中で下記述べている。


思ったのは、今では当たり前になっている上記の施策ですが、当時は本当に手探りで、様々な手法が試され、星の数ほどの失敗の中からビッグヒットが生まれてきたということです。本書によるとアマゾンも膨大な数の失敗を繰り返しており、ほんの少し正解の数が多かっただけなことが分かります。しかし、それが決定的な差になっています。
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なので、ビジネスをする上ではとにかく正しいと思われる施策を大胆に考えて、試行回数を増やしてすばやく正解か間違いかを判断していくことがとにかく重要なんだと再認識できました。
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ベゾスのやり方には極端なところもありますが、非常に合理的なのに夢もあって、個人的にモバイル・コマースのビジネスをしていることもありものすごい勉強になりました。何度か読み返そうと思ってます。

mercari

suadd blogより

2014年6月にTVCMで投下した資本はきっちりユーザー数として跳ね返り、2014/10に無事メルカリは販売手数料の有料化(10%)を果たす。ユーザーの認知率で大きく突き放していたメルカリは成長を加速させ、ライバルだったLINE MALLは特に大きな投資をされることもなく、2016年3月に閉鎖、カテゴリーキラーだったフリルは2016年9月に楽天に被買収となり、ラクマとして生まれ変わることとなった。



余談


メルカリは2016年以降現在まで、「Go Bold」というバリューを掲げているが、2016年のブログの中にボールドの書評記事がある。ひょっとして関連している??


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suadd blogより

ちなみにメルカリがアメリカに異常にこだわっているのは、本田宗一郎の影響と考えられる。本田宗一郎もアメリカ進出に徹底してこだわり、勝利を手にした。スーパーカブの話と戦略サファリの話は下記記事でも書いている。余談だがアメリカ人にとってメルカリは発音しにくいので、サービス名を変えるべきである。
【いきなりステーキ】いきなりステーキを救う会


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suadd blogより