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【レモン市場】プログラミングスクールで騙されない方法
ざっくり言うと
- エンジニアの世界は奥深すぎるため、一般の人には何が正しいのか全く判定できない。結果、エンジニアになりたい人がプログラミングスクールで騙されてしまう例が後を立たない。
- 財・サービスの提供者と消費者の情報の非対称性が高いマーケットを、ミクロ経済用語でレモン市場と呼ぶ。アメリカの中古車市場で、消費者はどれが良い中古車かが分からない事例から、役に立たない商品をレモンに例えてレモン市場と呼ぶ。
- エンジニアになりたい人が、レモンから身を守るコツは、エンジニアのもとで修行するか、エンジニアになりたい人同士で積極的に情報交換することである。つまり42というフランス発プログラミングスクールのサービスは画期的である。
増えるプログラミングスクール詐欺
エンジニアとしてもどかしいのが、プログラミングスクール詐欺である。
需要と供給がアンバランスな状態が続くエンジニア市場。エンジニアにおいてもスキルの格差やジャンルは幅広く、常に需要が供給を上回り続けている。
最近エンジニアになろうとするビジネスマンや大学生も増えており、よくアドバイスを受けることが会ったので、僕は毎回レモン市場の話をする。
仕事としてエンジニアをしていないと、スクールで提供しているスキルやカリキュラムの質、就職サポートの手厚さの実態が分からないからである。これを情報の非対称性と呼ぶ。
近年、高い授業料と引き換えにスキルが身につかないプログラミングスクールが増えており、まず消費者としてプログラミングスクールの詐欺に引っかからないようにレモン市場という概念を身に着けておくべきである。歴史に学べば、自分が落とし穴を回避できるのだ。
消費者が騙されるレモン市場とは
レモン市場とは、アメリカの理論経済学者ジョージ=アカロフ(1970)が提示した概念で、アメリカの中古車市場で購入した中古車が壊れやすいメカニズムを説明したものである。
Yan Chi Vinci Chow - https://www.flickr.com/photos/ticoneva/444805175/, CC 表示 3.0, リンクによる
背景には、商品の売り手は商品に関する情報について詳しいため品定めができるが、消費者側は品定めができないから、というものがある。
通常売り手は消費者にいかに商品を買ってもらうかを競争するために必然的に良い商品を提供するようになるはずだが、消費者は商品の良し悪しが分からない。
この場合、売り手は次第に「どうせ消費者にどんな商品出しても分からないんだから、雑なものでもいいや」とコスト志向が強くなり、歯止めが効かなくなるとひどい商品だらけになってしまう。これを逆選抜と呼ぶ。
まさにプログラミングスクールをめぐる状況は絶好の狩場となっており、消費者が全くプログラミングスクールの良し悪しを判定できないために、詐欺的なプログラミングスクールが続出するのである。
修行するか、仲間と情報交換しよう
ではこれからエンジニアになりたい人はどうやって詐欺的なプログラミングスクールか身を守ればよいか。
一つはプログラミングスクールに頼らない方法がある。僕でもよいが、エンジニアの経験がある人に「どの人の元で勉強すればよいか」を聞いてみて、修行の身として転職する方法である。
エンジニアの世界も他の職人の世界と同様、誰に教わるかで自分のスキルの伸び幅が変わる。プログラミングに関する情報の非対称性をクリアするのは難しいが、プログラミングに詳しい人を知っておく、という意味での情報の非対称性はクリアできる。
2つめの方法に、消費者同士がタッグを組む、という方法がある。いわゆるクチコミやレビューは消費者どうしの売り手に対する連帯である。エンジニアになりたい人同士で情報交換をする。
最近だと生徒同士が協力しながらプログラミングを学ぶ「42」というフランス発の学費無料プログラミングスクールが日本に上陸するという。エンジニアになりたい、という同じ志の人と交流すると、同じ悩みを抱えており、同じ情報の非対称性をクリアできる可能性が高い。つまり、エンジニア歴の長い人はもう初心者の気持ちが完全にわからなくなっているので、同じタイミングの人間と交流することは価値がある。
Note「フランスのプログラミングスクール「エコール42」についてまとめてみました。」より