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【システムシンキング】トラウデン直美氏の環境配慮発言は炎上するほどでもない話


ざっくり言うと

  1. 大炎上した、トラウデン直美氏の店員さんがめんどくさい環境配慮発言。
  2. 実際、脱炭素社会、カーボンニュートラルには大きな問題がある。レジ袋とEVを例に。
  3. だが一理ある。ひとりひとりの意識を変えるとインパクトが生まれる。


トラウデン直美氏の環境配慮発言


クリスマスにレジ袋の話をしたい。結構面倒なのだ。


先日、トラウデン直美氏の環境配慮発言、「買い物をする際、店員に「環境に配慮した商品ですか」と尋ねることで店側の意識も変わっていく」というものが炎上してしまった。



正直あまり正鵠を射た発言ではないが、叩くほどでもない。ネットの炎上は近視眼的な批判で、店員めんどくさいだろ、世間知らず、という批判がほとんどであった。


批判の背景には、上級国民を始めとする深刻な経済格差がある。低賃金の怨嗟が、イケてる国民代表のトラウデン直美氏にぶちあたったのだ。実際、スーパーのバイトを経験した時に「環境に配慮した商品ですか」とやられたらたまらないだろう。


だがこんなの売り言葉に買い言葉でしかない。冷静に発言を見直してみると、一理ある。



脱炭素社会は可能か?


不可能だ。人間そもそも炭素でできている。


だが完全に脱炭素というわけではないので、冷静に脱炭素(カーボンニュートラルとも言っている)社会が可能か見てみよう。わかりやすいトピックとして、レジ袋とEVを取り上げよう。



レジ袋は意味あるのか?


結論、二酸化炭素の総コストで見れば意味は無い。マイバッグはレジ袋の50倍の二酸化炭素を出すし、そもそもプラスチックとして利用されるのは原油の3%である。火力発電などの燃料として利用される方を減らさなければ意味はない。



つまり、環境省のレジ袋有料化はまったくもって意味は無く、単なる国民への意識向上の効果しかない。むしろコロナ下では感染の原因になっている。たんなる国民への嫌がらせとも言える。トラウデン直美氏の発言も、その瞬間で言えば嫌がらせでしかないのだ。


では、燃料側を減らせばよいのか??EVのトピックを見てみよう。



EVは環境に良いのか?


EVがガソリン車に対して環境に良いのは、実は間違いである。EVのほうがエネルギー消費が激しく、ガソリン車よりも効率が悪い。 だが、ハイブリッド車だと実はガソリン車よりも効率が良い。結論から言えば、ハイブリッド車が最も環境に良いのだ。


EVシフトについても、結局はレジ袋と同様、エンドユーザーへの意識向上なのだ。実際、2000年代前半にトヨタのプリウスが米国でヒットしたのは、ハリウッドスターがプリウスに乗って環境配慮のイメージを利用して自身のイメージ向上を狙ったことがあり、EVへのシフトも結局ポーズとしての環境配慮に過ぎないのだ。


現在、EV、ハイブリッド、ガソリン、水素の選択肢が自動車には残されているが、主な論点は下記である。そもそも低炭素排出か否かは微細な問題のはずなのだが、国際的なテーマになってしまった時点で、EVへのトレンドを回避できない。

  • より低炭素排出なものはどれか?
  • 利便性。スタンドの普及、チャージ時間はどうか?
  • 事故時の爆発など、安全性はどうか?
  • 供給サイドの問題。バッテリーやガソリンタンク、電気スタンド、ガソリンスタンド、水素スタンド。レアメタルバッテリーに対して足りるのか?など。
  • 利用後の問題。バッテリーの廃棄方法、老朽化したスタンドはリノベにどれくらいコストがかかるのか?
  • 価格の問題。EVはガソリン車よりも部品点数が少なく、コストを抑えられる(例: シトロエンの50万円EVなど)など。
  • 競争の問題。欧州と中国はEV強い。ドイツはディーゼルちょっとある。日本はハイブリッド。アメリカはEVとガソリン。
  • 雇用の問題。ドイツと日本の部品メーカーの系列の雇用ツリーはどうするか。
  • プレーヤーの問題。自工会でトヨタはEVへの懸念を表明したが、これは世界最大の投資ファンドGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の元理事である水野弘道氏が、「これからはEVやカーボンニュートラルに対応しないとファンドの投資対象にならない」とプレッシャーをかけたからである。だがこの水野氏、実はテスラの取締役なのだ。利益相反ではないのか。

詳解は長くなるので避けるが、上記の論点を踏まえるとEVよりハイブリッドである。だが、世界のトレンドに逆らえないのでこのままだとEVの社会になる。経済用語でこれを自己成就的予言と呼ぶ。


結論、脱炭素社会は不可能なのだが、もはやロジックではない、様々な思惑によって脱炭素社会への移行が避けられなくなっている。世界はルールを作る者が操るのだ。



システムシンキングで考えると、一理ある


ところでトラウデン直美氏の環境配慮発言に立ち返ると、ミクロの視点で言えば素晴らしい効果を生む。


一人ずつ環境配慮の啓蒙活動を行うと、S字カーブを描きながら世界に環境配慮の意識が普及するのだ。


S字型成長



詳細はシステムシンキングに関する別記事「世界がとりがちな曲線パターン集」 を見てほしいが、トラウデン直美氏はこの普及カーブを示唆して発言しているのだ。キャンプでのボーイスカウトのポリシーに、「来たときよりも美しく」というものがあり、日本で広く普及しているが、事実スローガンはミクロな人々の行動を変えるきっかけになる。


現実的な障害を鑑みると、トラウデン直美氏も小泉進次郎氏も、性善説で世の中を見ている「お花畑な人たち」な感じは否めないが、一理あり、決して批判炎上するほどでは無いということを申し上げたい。