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【桃太郎電鉄】桃鉄に投資の考え方を持ち込んでみる-本気で勝つために-
ざっくり言うと
- 祝!桃鉄復活。電鉄会社として物件を買い占め、資産トップを目指そう。
- 本気で勝つために、物件の収益性分析をやってみよう。買うタイミングも大事。
- 投資の鉄則で桃鉄のプレイの仕方を考える。
桃太郎電鉄、復活
いよいよSwitchで桃鉄が帰ってきた。
いくつもの友達関係にひずみを生じさせた皮肉なパーティゲーム、桃太郎電鉄である。
詳しくない方に簡単に説明すると、これは2-4人の対戦のすごろくライクなボードゲームである。各プレイヤーは鉄道会社の社長となり、全国のゴール駅を目指しつつ、物件を買い集めて資産トップを目指す。東急電鉄や西武鉄道など、鉄道網を軸に資産の拡大をおこなった各鉄道会社の歴史をゲームで再現したものである。
多分、3人くらいに聞けば1人は桃鉄を知っているか、今回の桃鉄を持っているのではないだろうか。論より証拠でぜひあそんでみてほしい。なぜ友達関係にひずみが生まれるのか、やってみると意味が分かってくるだろう。
今回は桃鉄が投資の簡単な勉強に役立つ、という話をしてみたいと思う。実は物件買収のテクニックや投資のエッセンスがゲームの攻略につながるのだ。
物件の収益性分析を簡易版NPVでやってみる。
桃鉄では資産をどんどん買い占めていくのが重要である。物件駅に止まると持ち金で物件を購入することができ、毎年4月に物件の価値に収益率を掛けた金額を持ち金として手に入れることができる。さらに指定年数経過のゲーム終了時に物件の価値がそのまま総資産として計上されるので、極力高い資産を保有しておくのも重要だ。
上図のひたちなか駅の場合、例えば今購入しようとしているネモフィラの丘は、資産10億円の収益率10%なので、毎年4月に1億円が手に入ることになる。
つまり、早めに収益性の高い物件を買っておくと、毎年定額がもらえるのでそれだけ有利なのだが、初期は持ち金が少ないので収益率が高いもの(干しいも屋など)、後期は総資産が重要なので資産価値が高いもの(総合電機メーカー)を購入する必要がある。
投資の世界では、物件の資産価値はNPV(正味現在価値)やIRR(内部収益率)を用いて行われる。NPVとは、将来得られる利益を現在に割り引いて計算した将来のリターンの合計を投資した金額から初期投資額を引いたもので、桃鉄においては初期に物件を持っておくメリットが算出できる。今回は説明を省くが、IRRに関しては投資の一定期間の収益率をNPVに基づいて出すものである。
NPVについて、桃鉄において算出してみよう。ゲームを5年と考えて、1年目に1,000万円、収益率50%の干し芋屋を購入して2-5年目の9年間収益500万を手に入れた場合、干し芋屋のNPVは下記となる(単位は万円)。
初期投資で1,000万円。2年目から5年目は500万円ずつ決算でリターンが得られ、ゲーム終了時に物件の資産額がそのまま計上されるので1,000万円。よってNPVは2,000万円となる。※本当は将来のリターンの現在価値として割引率を考えるのがNPVだが、ここでは割引率は仮定しない。
もし2年目に買って3-5年の3年間のリターンになると、物件のNPVは1,500万円まで低下する。
つまり、1回物件駅で購入を見送ったツケが、あとになって大きな差を生むのだ。
厄介な例を考えてみよう。ネモフィラの丘(10億円で収益率10%)と魚市場(14億円で収益率2%)は購入タイミングが難しい。
ネモフィラの丘は毎年1億円、魚市場は毎年2,800万円が4月に手に入る。毎年7,200万円ネモフィラの丘のほうが多くもらえるので、残り年数が1.94年、つまり2年以上だったらネモフィラの丘を買っておいたほうがよいことになる(下図の単位は万円)。
残り年数が少なくなると、お金は余っているが物件をどれ買うか難しくなる。リターンを計算して無駄遣いに注意しよう。
投資の鉄則で桃鉄を攻略
桃鉄はさながら資産運用シミュレーションである。1,000万円を元手に資産をじっくり増やす戦いで、後半は資産がインフレしてくるあたりも資本主義の原理原則をうまく再現している。ここでは投資の鉄則を桃鉄に応用して解説していこう。
桃鉄は序盤の逃げきりが王道である。初期は目的地に最初につく以外、大金を手にできない。お金がお金を生んでくれるという原則は、桃鉄でも通用するのだ。まずはいかに目的地に早くすすめるかだけを考え、物件駅では3月以外は極力物件は買わず、買うとしてもカード駅で特急カードなどサイコロを増やすカードに徹する。
一度でも目的地について大金を手にできたら、いよいよ資産運用の始まりだ。NPVを意識して、期待リターンが最大化するように物件を購入していく。バリュー株をひたすら探すのだ。物件液では期待リターンと残り年数+資産価値を暗算し、最大な物件を直観的に選択できるようにしておきたい。そして資本主義の鉄則によれば、相手の資産運用の拡大ループを極力壊すことが大事なので、とにかく相手の持ち金をなくすことに徹しよう。いつか決して追いつけない絶対的な差が生まれる。
後半になるといくら使い切っても使い切れなくなる。損失回避に気を向けよう。注意すべきはリーマンショック、つまりスリの銀次だ。これは持ち金の半分または全額を奪ってしまう。だが彼は物件駅には現れないトイウ特徴がある。つまり極力物件駅に止まるようにし、とにかく持ち金を使い切ること。資産に変えて流動性をなくしておこう。