Gonjitti Blog
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【システムシンキング】世界がとりがちな曲線パターン集


ざっくり言うと

  1. システムシンキングは新型コロナでも有用であった。理由は1ヶ月後の感染者数を予測できるから。
  2. 世界がとりがちな曲線パターン集について。
  3. 曲線を知っておくと、思わぬ事実に足元をすくわれなくなる。予測して事前に手を打てるから。


新型コロナで感染者は予測可能であった


第三波で感染拡大が始まっている新型コロナであるが、第二波までは曲線パターンが分かっているので、ある程度の予測は可能であろう。


日次のデータが改ざんされない限り、コロナは統計的に推測が可能である。5月末までに一旦感染が着地することは 、数量政策学者の高橋洋一氏がすでに既存のデータで予測していたものである。



上記は計算されていたが、別に計算をしなくてもよい。システムシンキングの素養がある人は、ある情報を手に入れた時に頭の中で直観的にモデルが組まれ、ある程度の推定ができるようになるのだ。



世界がとりがちな曲線パターン集


システムシンキングでは、因果ループ図を描くことで要素間の影響を見るものであるが、そのループがもたらす結果を曲線パターンとしてモデリングしている。


まだシステムシンキングを知らない方は、タグ「システムシンキング」で紹介している記事を参考にしてほしい。下記には基礎編として最も平易な記事をピックアップしておく。


【システムシンキング】なぜ、飲み過ぎてしまうのか? なぜ、交通渋滞は解決されないのか?


早速世界がとりがちなパターンを紹介しよう。実践システムシンキング(湊 宣明/KS理工学専門書)では、6つ示されている。



指数的成長



見ての通り、時間が経つにつれ変化が加速するパターン。複利などが当てはまる。



目標追求



ある目標値があり、時間が経つにつれ変化が目標値に収束していくパターン。交通事故や工場でのエラー率などは典型例。



振動



ある目標値を境に増減するパターン。これはシステムの因果関係に重大な遅れが生じている場合に発生する。原因としては、測定の遅れ、報告の遅れ、認識の遅れ、意思決定の遅れ、効果発生の遅れなどが示される。


インフレ率などが典型例。インフレ目標に対して日本銀行を始めとする中央銀行は金融緩和と緊縮を行い調整を行おうとしても、市中に出回るまでに効果の遅れが生じるため、いつまでも振動する。



S字型成長



これは共有資源という概念が重要なファクターになる。ある生態系を考えた時に、生息環境で生息できる特定のタイプの生物の個体数である環境容量が存在する。土地ごとに環境容量は決まっているから、個体数は環境容量に向かって目標追求型の収束していく。別の見方として、累積の感染者数であるとか、ある期間の売上の月次を累積で表示したものなどもS字のカーブを描く。つまり人口や売上高の合計を環境容量と見て100に収束していくのである。技術革新などもこのカーブを描く。



振動を伴う成長



さらに複雑になるが、これはS字型成長に時間の遅れが生じた場合のパターンを指す。目標に近づくと振動するタイプである。例えば温泉卵を作るときは60-70度の間でコンロの火を調整しないといけないが、目標値に近づいたからと言ってコンロの火を弱めるには計測の時間がかかるので大体温めすぎて慌てて火を弱める。すると空気によって冷やされてしまう。そしてまた計測の時間を作ってコンロの火を強めたりすることになるが、強すぎると黄身が固まるのでまた火を弱める羽目になる。結果、温度は振動を伴う成長になる。



成長と崩壊



これも複雑だが、これは環境容量が損耗してしまうことから、次第に生態系そのものが崩壊してしまうパターンを指す。具体例としてマグロの漁獲量を考える。マグロは日本の人口増加に伴って漁獲量を増加してきたが、マグロの総量が減ると当然、環境容量として小マグロの総量が減ってしまう。すると漁獲量はやがてピークを迎え、卵殻状態に陥り小マグロの減少を加速させる。他の例としては、軍艦島の人口(炭鉱の閉山による減少)や、一発芸人(環境容量とは芸を面白いと思う一般人)などが考えられる。



未来予測で事前に布石を打とう


システムシンキングは遠い未来を見据える時に有用だ。あるデータが来た時に、「半年後はこうなる」「1年後はこうなる」と預言者のように予測することができるようになる。


私自身もこのモデリングを駆使して将来のコロナ感染者数と食糧危機をざっくり予測している。コロナは11月末から拡大、1月-2月からロックダウンに近い自粛生活が必要となるだろう。食糧危機はすでに中国が洪水の結果起きているが、2021年の夏にかけて穀物の値段が上昇し、購買力が相対的に弱いアフリカでは穀物の輸入ができずに餓死するリスクが高まる。中国が単独で食糧の節約に努めているが、すでに間に合っていない状況である。


ピークアウトのタイミングも予測できる。コロナは2021年夏にピークアウト、2021年末には収まるだろう。2021年春はまだ収まらない。第6波くらいまでは注意する必要がある。