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【フロム】愛するということ


ざっくり言うと

  1. おすすめされていた本。結論から言えば、もっと早く読むべきだった。
  2. 愛することへの典型的な3つの誤り。
  3. 愛するとは能動的な行動であり、技術である。学ぶ必要がある。


愛するということ、哲学書として異例のヒット


よく、おすすめされている本でも中々読んでいない本がある。


この愛するということ、という本も何人かからおすすめされていたが、経済や技術の本を優先し読んでこなかった。


結論から言えば、過去の自分は誤りであった。今からでも深く、愛を学ぶ必要がある。


実はこの「愛するということ」、女性の間では哲学書として異例のヒット作となっており、よく読まれているようだが、一方男性はあまり読んでいないのではないだろうか。


本著は、哲学書としても比較的読みやすい文体で、内容も理解しやすく、哲学入門としてもおすすめしたい。



愛することへの典型的な3つの誤り


今回は本著のメインテーマである、人間の愛に関する誤解と愛するということの意味を紹介したい。


フロムは、現代の社会人が愛について3つ、根本的に勘違いをしていると指摘する。


第一に、たいていの人は愛の問題を、 愛する という問題、愛する能力の問題としてではなく、 愛される という問題として捉えている。

愛について考える時の多くの人の誤解は、問いが「愛する」より「いかに愛されるか」に発してしまうことである。


人は外見的魅力や富と権力、性格、考え方を現代社会のトレンドに合わせて寛容的であろうとするが、それは愛を人気やセックスアピールと庵違いしているからである。


愛には学ぶべきことなど何一つない、という考え方の底にある第二の前提は、愛の問題とはすなわち 対象 の問題であって 能力 の問題ではない、という思いこみである。
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愛する ことは簡単だが、愛するにふさわしい相手、あるいは愛されるにふさわしい相手を見つけることはむずかしい――人びとはそんなふうに考えている。

何が人を魅力的にするかは、肉体的にも精神的にも時代の流行に左右される。恋心を抱く相手を、まるで商品を手にとるように、社会的価値という観点から望ましいものを探そうとするのである。


恋に落ちる経験と、愛の中にとどまっている持続的な状態を混同している。

人は互いに相手に夢中になった状態を愛の強さの証拠と思い込む。だがしかし、そのこと自体が、今まで二人がどれだけ孤独であったかを示しているだけかもしれないのだ。



愛するということ


フロムは人間にとって愛が必要な理由を、アダムとイヴの神話から捉え直す。人は孤独への恐れを抱いているのだ。


アダムとイヴは「善悪の区別を知る知恵の木の実」を食べ、神への服従を拒み、自然との原始的な動物的調和から抜け出して人間となった。
そしてその後で、二人は「自分たちが裸であることを知り、恥じた」。

なぜ恥が生まれるのか。これは決して性器が丸見えなことからくる当惑ではない。


アダムとイヴは、それぞれ孤立していることは認識しても、二人はまだ他人のまま。まだ愛し合うことは知らない。


人間が孤立した存在であることを知りつつ、まだ愛で結ばれるわけではない。ここから恥が生まれる。罪や不安もここから生まれる。


やがて人間は孤独への不安に苛まれ、セックス依存や酒、薬物への依存に溺れる、一時的な興奮状態を孤独への恐れの紛らわしとするのである。


しかしフロムは、愛する技術を知ることで本質的に孤独から回避する方法を学ぶことができるという。詳細は本著にて。




余談(おすすめ本コーナー)


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