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【システムシンキング】なぜ、飲み過ぎてしまうのか? なぜ、交通渋滞は解決されないのか?
実践システムシンキング(湊 宣明/KS理工学専門書)) より引用
ざっくり言うと
- ロジカルシンキングが広まる中、システムシンキングはあまり知られていない。
- ロジカルシンキングは物事の分解、システムシンキングは物事のつながりを見るのが得意。
- 交通渋滞の問題は、ロジカルシンキングでは解けない。システムシンキングで解明できる。
ロジカルシンキングに勝る思考法? システムシンキング
巷ではロジカルシンキング(論理的思考)の本が所狭しと並んでいる。意識が高い社会人の誰もが、ロジックツリーやMECEを聞いたことがあるだろう。コンサル業界を中心に適用されてきたロジカルシンキングは、今や社会人の必須知識として一般化した。
ビジネスノート より引用
もちろん、ロジカルシンキングはとても重要なスキルである。ただ、実は理工学系ではもう一つ重要なスキルとして教えられている思考法がある。これがシステムシンキングである。
例えば、飲み過ぎの問題、交通渋滞を改善する問題、社員のモチベーションを上げる方法など、世の中のあまたある課題は、ロジカルシンキングよりシステムシンキングを用いて考えた方が良い場合が多い。
なぜシステムシンキングで考えると良いか。
一言でいえば、要素間がもたらす変化を捉えられるからである。
ロジカルシンキングとシステムシンキングの違い
実践システムシンキング(湊 宣明/KS理工学専門書) より引用
ロジカルシンキングは、要因を分解することに強みがある。
例えば、「なぜ利益が上がらないか?」という問いに対して、要因を分解すると、一般に2つになるであろう。
- 売上が上がらないから
- 人件費などのコストがかさんでいるから
対して、システムシンキングは要素間の作用を表すことに強みがある。
例えば、「なぜ飲みすぎてしまうのか?」という問いに対しては、システムシンキングの因果ループ図を用いて下図のように表すことができる。以下解説しよう。
実践システムシンキング(湊 宣明/KS理工学専門書) より引用
- [飲酒量]が増える(上図の真ん中の[飲酒量]」から線が引かれ、+マークが付いていることに注目)
- [飲酒量]が増えると、下記の変化が起きるが、いずれも変化が起きるのはゆっくりである。
- [飲酒可能上限値]が「ゆっくり」下がる。すぐに飲める量が減るわけではない。
- 左の[飲酒量]から、[飲酒可能上限値]に+の作用があるが、ゆっくり。
- [飲酒可能上限値]から、[上限値を超える飲酒量]には-の作用があるが、これが発生するには時間がかかる。
- [酔いの程度]が「ゆっくり」増してくる。酔いは遅れて来るので、時間的乖離がある。
- [飲酒量]から、[酔いの程度]に+の作用があるが、ゆっくり。
- [酔いの程度]は[飲酒量]に-の作用があるが、これが発生するには時間がかかる。
- [飲酒可能上限値]が「ゆっくり」下がる。すぐに飲める量が減るわけではない。
- 本来飲酒で起きる変化をまたずして、どんどん飲酒量は増えてしまう。
- やがて[上限値を超える飲酒量]はピークを迎え、酔いつぶれてしまう。
交通渋滞の問題は、システムシンキングを適用しよう
交通渋滞の問題は、ロジカルシンキングで解決できず、システムシンキングが適用できる好例である。
交通渋滞が発生した時、ロジカルシンキングで考えるまず第一の改善策は、「道路の幅を広げる」であろう。
(もちろん、料金を有料にする、渋滞税などの条例を適用するといった解決策もあるが、ここでは道路の幅を広げる、という一般的な解決策に絞る)
しかしよく考えてみてほしい。道路の幅が広がるということは、通行可能な車の数を増やすが、同時に道路の利便性を上げてより通行する車が増えてしまうことがある。
実践システムシンキング(湊 宣明/KS理工学専門書) より引用
システムシンキングでは、上図のように、因果ループ図で表すことができる。
渋滞の長さを減らす作用と、増やす作用、2本の作用が発生していることを、可視化できる。
交通渋滞の例はいわゆる「副作用」とよばれるものだが、この可視化が出来ないために、当初有効と思われた施策が失敗することが多い。
ロジカルシンキングに加え、システムシンキングを使いこなすことで初めて、ヌケモレなく問題解決ができる。
余談(おすすめ本コーナー)
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