【デザイン】成功するデザインの法則「MAYA」

アメリカをデザインした男、レイモンド=ローウィは、成功するデザインの法則「MAYA」を編み出した。

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Tesla公式HP

ざっくり言うと

  1. CyberTruckは、MAYA原則に則っている。デロリアンのなじみ感と先進性を両立した。
  2. MAYA原則は、「Most Advanced Yet Acceptable(非常に先進的でありながら受け入れ可能なもの)」の略であり、アメリカの1900年代前半大活躍した工業デザイナー、レイモンド=ローウィの原則である。
  3. レイモンド=ローウィは流線型のデザインを得意として機関車や自動車、ロゴマークやエアフォースワン、宇宙ステーションをデザインした。ちなみに宇宙ステーション「スカイラブ」に小窓を絶対つけるべきだと提案したのはローウィである。


CyberTruckとデロリアン


イーロン=マスク率いるテスラ=モーターズは、2019年11月、ピックアップトラック「CyberTruck」を発表した。


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Tesla公式HP


市場ではあまりの大胆なデザインに驚きを持って迎えられつつも、2019年12月10日時点で20万台以上を受注、早速大ヒット商品となった。


間違いなく、クールなデザインの一つである。


なぜ、ここまで受け入れられたのか。実はこのデザインは、先進的でありながらもなじみが深い。そう、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で登場したタイムマシン、DMCデロリアンである。


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automobilemag.com


この類似性は偶然か?いやいや、間違いなくデザインの根底にデロリアンのイメージがあるはずである。そして、この程度の新規性はデザインの世界では「脱構築」と呼ばれ、絶妙なバランスで成り立っている。つまり、MAYAなのだ。



MAYA


MAYA原則とは何か。


MAYA原則は、「Most Advanced Yet Acceptable(非常に先進的でありながら受け入れ可能なもの)」の略であり、アメリカの1900年代前半大活躍した工業デザイナー、レイモンド=ローウィの原則である(下図はエアフォースワンと映るローウィ)。


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raymondloewy.com


言い換えるならば、「思い切ったデザインでありながら、すぐに理解できるような製品に人は惹きつけられる」ということである。


この原則の妥当性は、偶然、2014年に大学研究の中で理論化されている。ポール=ヘッカート教授は人が何かを好ましく思う理由を研究した「Unified Model of Aesthetics(美学の統一モデル)」と呼ばれる一般理論を打ち出している。


ヘッカートいわく、人にはなじみのあるものを求める「なじみ感」と、何かにチャレンジする時のスリル「新しさ」に惹かれるものであり、そのどちらか一方では惹かれない。必ず、両立されている時にのみ、好ましいと感じるようである。


ヘッカートは研究当時ローウィの「MAYA原則」を知らず、偶然同じ結論にいたり、すでにある工業デザイナーが経験則的に人間の好ましいと感じる感覚を体系化していたことに驚いたという。


間違いなく、テスラのCyberTruckはMAYA原則にぴったり合致するデザインである。



レイモンド=ローウィ


さて、レイモンド=ローウィとは何者なのだろうか。書籍「ヒットの設計図-ポケモンGOからトランプ現象まで-(デレク=トンプソン著/早川書房)」では、ローウィが「アメリカをデザインした男」と呼ばれるまでを詳細に描いている。

彼はフランス・パリ出身。フランスで両親を感染症で亡くし、1919年、たった40ドルでニューヨークに電気技師にでもなろうかと思って大陸を渡ってきた。


大西洋の定期客船フランス号に乗っていたあは、偶然、持ち物を競りに出して小銭稼ぎをする乗客に出くわし、お前もなんか出したらどうだ、と持ちかけられる。なんにもなかったローウィは、小銭稼ぎにペンでデッキにたたずむ女性の後姿を描き、スケッチとして競りに出した。するとそのスケッチが在ニューヨーク英国領事の目に止まり、150フランで売れる。その領事がローウィを当時有名な雑誌出版社を経営するコンデ=ナストに紹介、ローウィは美術のしごとに惹かれていく。


当時ローウィにとって摩天楼、ニューヨークはすべてが新鮮であった。しかし当時ニューヨークは機械による大量生産の時代、粗野で不格好な見苦しい街に思えた。ローウィはニューヨークはもっとシンプルで女性的な街をイメージしていたのである。


ローウィはその後、ニューヨークそのものをデザインによって本当に変えてしまうことになる。スポーツカー、新型の汽車、たばこ「ラッキーストライク」のロゴ、鉛筆削り、大統領専用機「エアフォースワン」、宇宙ステーション(地球を見る小窓を取り入れたのは、彼である)に至るまでデザインの手を広げ、アメリカをデザインした男、と呼ばれるに至る。


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ローウィは消費者が何を好むかを、メーカーに的確に教えることができた。だがそれは、消費者の行動習慣を真剣に学んだからである。彼はデザインを人々の行動に合わせるように考える人であり、デザインした製品によって人々の生活を無理に変えさせることをしなかった。彼はずっと、なじみ感と新しさのバランスを取り続け、数々のデザインを残したのである。



余談


世界中で利用されているデザインツール、Autodeskの最新版は「Autodesk MAYA」と呼ばれるが、製品名はローウィのMAYA理論から来ている。


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